学ぶが勝ち! 生産財のセールス&マーケティング
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  • あるときひっそりとやっていたメルマガのハリツケです。

Vol.11 2003年8月26日

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◆前号までのサマリー
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しばらくテーマにするので、再掲しときましょ。

「受注の方程式」

   受注=(ニーズ×投資能力)×(製品×比較優位)×信頼関係


 1.お客様にニーズがあり、かつ、
 2.お金をもっていて、かつ、
 3.当社にそのニーズを満たす商品があり、かつ、
 4.その商品は競合より優れた個所があり、かつ、
 5.顧客と信頼関係があれば、

 
  ・・・必ず受注できる。


しばらくこのコトについて書いていきまーす。

今日は、ニーズに関する話です。

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◆ニーズってなに?
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 ニーズってなに?という質問は、実は簡単なようで難しい。あ、いや、実は簡単なハズなんだけど、いろんな人が引っ掻き回してややこしくしてるんだな、きっと。

「ニーズとウォンツ」って言葉、聞いたことありません?
んで最近、「ニーズよりウォンツを高めなきゃダメなんだ!」的記述をチラホラと見かけることが多くなりました。

ところがですねぇ、これ、調べてみると、意外に定義があいまいなんですよ。

 いくつか噛み砕いて紹介しよう。

○パターン1
  • ニーズ :必要なものが欠乏している状態
  • ウォンツ:そのニーズを満たす特定のものを欲する状態
  例)
   ニーズ :「お腹が空いた!」
   ウォンツ:「おにぎりを食べたい!」

お腹が空いた!は全世界共通のニーズになるが、ウォンツは文化などによって大きく違ってくる。例えば日本人なら「おにぎり食べたい」となるだろうし、アメリカ人なら「ハンバーガー食べたい」となるだろう。

このように「特定のモノを求める欲望」をウォンツと呼ぶ。

○パターン2
 
  • ニーズ :必要性。しなければならないもの。
  • ウォンツ:欲求。したいもの。
 例)
  車検は「しなければならない」のでニーズ。
  ベンツは「それでなくてはいけないわけではないが、それに乗りたい」のでウォンツ

○パターン3
 
  • ニーズ :過去の経験に根ざした欲求
  • ウォンツ:未来に向かって「こんなモノがあったらイイな」という欲求
例)
  「パソコン壊れたから新しく買わなくちゃ」のようなものはニーズ。
  「DVD付きの最新型のパソコンが欲しいなぁ」というのがウォンツ。

 ほかにも・・・
  
  • ニーズ :意識化された必要性
  •   ウォンツ:意識化されていない欲求
 なんてのがあったなぁ。

 ホントはもっとイロイロとあるのですが、イタズラに取り上げてもしょうがないのでやめときましょう。

あ、そうそう。ふと思い出したけど、ココをみるといろいろ皮肉っていておもしろい。ケド、あまり毒されないように気をつけて読んでくださいね(^^;

http://www2u.biglobe.ne.jp/~hiraki/d73.htm

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◆で、どう考えればエエの?
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 さて、ニーズとウォンツいかがでしょう?
ちょっと混乱させてしまったかもしれないけど、まぁあまり悩まずに。これらを参考にして、自分なりに定義しちゃえばなんてこないんです。

もし今後本を読んでて「ニーズとは・・・」なんてでてきても気にしないこと。なにせいろんな定義があるから、振り回されないように。

ただ私なりにちょっと整理しときますんで、参考にしてください。

まず、一番伝統的と言える定義は、「ニーズ:お腹が空いた、ウォンツ:おにぎり食べたい」のパターン1になります。マーケティングの教科書に書いてある定義はだいたいコレですね。教科書によっては「ニーズ:喉が乾いた、ウォンツ:ジュースが飲みたい」という例で書かれてますね。

次、一番便利なのは、「ニーズ:車検しなければ、ウォンツ:ベンツ乗りたい」のパターン2かな。これは『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』(神田昌典著 ダイヤモンド社)の90ページにかかれているものです。

どんな風に便利なのかというと、製品を、ニーズの有る/なし、ウォンツの有る/なし、で分類することで、訴求ポイントを導き出せるんですよー。
・・・って、よく分からないですよね。ごめんちゃい。別に目新しい考えではないのですが、分かりやすくまとめているトコロがスゴイんです。

ま、これは本を読んでみた方がイイんだと思います。中途半端な説明は良くないと思いますし。おもろい本ですし。いちおう簡単な例を挙げときます。

●パターン2の方法で、生産財を考えてみよう

 覚えておくことは「ウォンツもニーズも高い状態がベスト」ということ。自分の取り扱い製品に置き換えて、イメージしてみましょう。ここではちょっと抽象的ですが、生産財での例を書いときます。

 機械が壊れりゃ・・・
   ニーズ :「直さなきゃいけない」
   ウォンツ:「直したい」

 というわけで、ニーズもウォンツも高い状態にあるので、修理サービスは売りやすい。

機械が老朽化してきた場合は・・・
 ニーズ :「今すぐではないが、そろそろ更新しなきゃいけない」
 ウォンツ:「旧式なので新しくしたい」

というわけで、ニーズはいまいちだがウォンツは高い。よって、ニーズを高めて上げれば、さらに売れる可能性が高める。どうやってニーズを高めるかというと・・・

例えば定価のある製品なら、「今月中なら特別に割引します!」と宣伝し、
 今月中に買わなきゃいけない理由を相手に提示してあげる。
 もしくは、設備診断を実施し、実際にどのくらい悪くなっているのか客観的に評価してあげ、更新しなきゃいけない理由を作ってあげる。

こんな風にして、ニーズやウォンツを高めに誘導していくとイイ。


 とまぁ戦術的な話はまた今度ということで今日はここまで。
次回もまた、ニーズについてもうちょい語っときます。

Vol.12 2003年8月29日

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◆顧客情報を集めよう
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 以前、受注の方程式を顧客の事情と自社の事情に分けた。つまりこういうこ
とだ。  
  • ・ニーズ×投資能力 = 顧客の事情
  • ・製品×比較優位  = 自社の事情
ニーズや投資能力は上記の通り、顧客情報の一部だ。
しかし、顧客情報はこれだけではない。
それ以外にも、業種・業態・信用・知識レベル・好み・手続き状況などさまざまな要素がある。

受注に必要な要素として、ニーズと投資能力にスポットを当てているが、これらの周辺情報を集めることも営業マンにとって重要な仕事だ。

そして、ニーズを含め、これらの顧客情報を集めることが、マーケティングのスタートになる。
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◆ニーズを起点に売れる仕組みを組み立てる。
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生産財の営業マンが新規開拓戦略を作成するにあたり、やりやすいのが、ニーズから発想していく方法だ。

 何なのかっていうと・・・

  ●ニーズを細分化して、新規客に提案する商品を選定する

 ということだ。具体的に説明しよう。


 さて、今、新しいお客さんを捕まえてこなきゃいけない事態になったとしよう。良いPRをするには、どうすればイイのか。

まずは、ニーズを他の顧客情報とあわせて収集しよう。つまり、「こんなお客さんたちはこんなニーズを持っている」「あんなお客さんはあんなニーズを持っている」という風にまとめていくのだ。

 具体的には、ニーズを業種ごとや規模ごとなどに分類することから始めるといい。

例えば小麦粉をいろんな食品メーカーに販売しているとしよう。高級なA製品、中級なB製品、安価なC製品と3種類の品揃えだとする。

これら製品を買い取っている顧客属性を調べ、共通する要素で分類するのである。こんな感じだ。
  • A製品購入者層:規模は小さいが高級クッキーを製造する食品メーカー群
  • B製品購入者層:優良大手食品メーカー群
  • C製品購入者層:あまり優良でない大手食品メーカー群
 そうそうキレイに分類できるわけもないだろうが、まぁこんな風に分類できたとしよう。

これができちゃえば、あとはカンタン。新規客に対し、どのタイプのお客様か分類し、強調する製品を変えていけばよいのだ。

つまり、狙ったお客が小規模で高級志向の会社であれば、A製品を中心に説明すればよいし、あまり優良でない大手メーカーならC製品を中心に説明すればよい、ってことになる。


 これほどカンタンなことなのに、かなりの営業マンはこんなこと考えずにカタログを配っている場合が多い。

よくある失敗パターンは、A・B・Cの各製品を1冊のファイルに挟み、ご希望に応じてなんでも対応します!ってやっちゃうやり方。すでに信頼関係のある顔見知りのお客様ならこれでも問題ないが、新規のお客様を前にしたときこれをやってしまうと、強調すべきポイントがボヤけてしまう。


お客様は、基本的に取引相手を変えたくないものだ。とくに原料となると、安定供給の実績のある既存取引先との関係は切りたくないと考えるのが普通だ。

特に生産財ではその傾向が強い。なんでかっていうと、顧客の生産システムの中に、業者も組み込まれているからだ。業者がコケると自社もコケる。そういう目に会いたくないから、信頼のおける従来からの業者に頼る。顧客にとっても、取引先を変更するというのは勇気のいることなのだ。

そのような心理状態にある相手に売るのだから、当然、それなりのメリットを提示しなければ興味を示すわけがない。
だから、顧客の種類に応じて、強調すべき製品を変えていく必要があるだ。

ちなみに、このようなアプローチを市場細分化とよぶ。
そして、例としてあげたような考え方は、非常にカンタンで単純であるのだけれど、マーケティング戦略策定にとって大切なものなのである。

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◆雑談。
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 今、ちょうど今日のようなことを考えていて、ある業界の中規模企業を対象としたPR手法を検討中でーす。

中小規模企業は、どうしても専門情報が不足がち。これを利用して利益率の高い自社製品を販売しようって魂胆なのだが・・・どうなるかはもうちょい検討が必要だ。速効性がないから実戦投入できるかどうか・・・。

この専門情報の過不足を利用した手法は生産財では有効。このメルマガでも時期がきたら説明します。

あ、そうそう。おいらは小麦粉のことなんぞ何にも知りませーん。小麦粉に高級とか低級があるのかも知らんで書いてまーす。

ま、イメージできりゃぁいいぢゃん・・・ダメ?
Vol.013 2003年9月2日
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◆専門情報の過不足を利用したマーケ手法
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 ええと、先週の雑談で、「専門情報の過不足を利用したマーケティングを検討中なんですよー」とサラッと書いたところ、「そのハナシをとっとと書け−。コラー」というメールがきたので、ちょびっと触れたいと思いマス。


なんなのかってーと、その骨子は、

「情報量をパワーバランスで考え、自分を強い立場に置く」

ということなんデス。

今まで、ウチは某業界の大手企業にイロイロとプラント設備を販売してきました。そのため、その設備においてはソコソコ情報が蓄積されているわけです。

別にウチだけしか出来ない技術、というわけじゃぁない。もっというと、売ってる我々は、あんまりたいした技術は使ってないよなー、と感じている程度のモンです。だから、大手企業を相手にしちゃうと、競合他社もワンサカいるためスグに価格競争になってしまう。

うーん。困っているのデス。利益率低下しまくりデス。しかも工事案件が細ってきている。犬のおまわりさんでなくても泣きまくりです。

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◆立場変われば価値変わる
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分析できる状況は下記の通り。
  • 実績を積み、その設備の情報が蓄積されている
  • でも、その情報は競合他社も持っている
  • 大手企業には大勢の会社が入り込むため、情報が集まっている
つまり、大手企業は大勢の会社が出入りしているため、その設備情報を集めやすい環境にある。そして、こっちの持っている武器(専門情報)は、競合他社とほぼ同じであるため、競争になるとどうしても価格競争が激しくなってしまう。んなわけで、利益率が低下しまくりになる。というわけだ。

そこで、競争の少ないセグメント・・・つまり、我々の持つ専門情報の集まりにくいお客さん、情報不足で困っているお客さん、を探せば、過度な価格競争に陥らずに、商売できるんではなかろーか、って考えたわけだ。

で、ターゲット・セグメントに浮上したのが、同業界の中堅・中小規模企業群というわけだ。一般論から考えても、中小企業は常に情報不足にある。そこにこちらの専門情報を提供し、喜んでもらいながら、こちらもお金を頂戴する。
それを狙おうってわけなのだ。


さて、ここで例の方程式を使って考える。

(ニーズ×投資能力)×(製品×比較優位)×信頼関係=受注

ニーズ :大手企業と同業界で、基本的な製造工程は変わらないため、ニーズは存在しているハズ

投資能力:これが心配。結構なお金が必要だからなぁ・・・

製品  :ニーズに対応する製品はもちろん持っている

比較優位:競合他社が少ないハズなので、実績・技術の確かさを前面に出せば、比較優位をPRすることが出来ると思われる。

信頼関係:未構築。これが一番タイヘンだ。


 というわけで、障害は・・・

 ・投資能力
 ・信頼関係

・・・に絞られることとなる。このうち、投資能力についてはこちらからできる手立てはあまりない。そいうお客様に会ったら、それはしょうがないものとして、次のお客さんを探すことにする。

問題は信頼関係だ。
これをスピーディーに構築するために、ここでも「専門情報」を使う予定だ。
正しい情報・誠意ある態度は確実に信頼関係にプラスになる。どう使うかという戦術レベルのハナシはまたの機会にするとして、んー、やっぱり「情報」は使ってナンボだなぁ・・・と改めて思うのであった。

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◆雑談。
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 まー、ともかくそんなこんなをセコセコと考えていたわけなんです。

で、マーケティング戦略から戦術、PR資料作成、電話、訪問・・・と入り口から出口まで全部やらなきゃいかんのがウチの勤める会社の体制。

フツー、マーケからセールスまで全てできる人っていないのだけど、それを全営業マンに求めちゃってるんだからアホだよなぁ・・・。

とはいっても、生産財企業って、入り口〜出口まで全て営業マンに求めちゃうんですよねー。読者のミナサマも苦労が絶えないことだと思います。

ほとんどの会社は9月といえば中間期末ですよね。エッサホラホイと最後の数字取りがんばりましょー。
Vol.014 2003年9月5日
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◆顧客の投資能力を拡張する
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 前回、「投資能力についてはこちらからできる手立てはあまりない。そいうお客様に会ったら、それはしょうがないものとして、次のお客さんを探すことにする。」と書いた。

 でも、そうはいってもお客さんを目の前にして、簡単には引き下がれないこともある。なんとかお客様の予算を増やせないか?

 実は、これがないこともないのである。

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◆小さく売る。
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 お客様に予算がない場合、「小さく売る」ことを考えると、意外にハナシが進むこともある。

どういうことかというと

 ・リース契約にする
 ・分割支払にする(いわゆる割賦販売)

って、こと。ま、言われてみれば、当たり前のハナシである。

 リース契約だとリース会社を経由して販売することになる。この場合、お客様の支払いは分割化するため、キャッシュが少ない方でも購入できるようになる。

 また、アナタの会社の資金繰りが問題なければ、リース会社を通さないで、単に分割支払いを提案してもよい。
実際に先日、「今年は予算がなくて・・・」というお客さんに、「半分は来期でもイイですよー」と囁いたら、トントン拍子で話が進みだすということを経験した。

 参考までに、リースについてはココが詳しいので紹介しときマス。
 http://www.leasing.or.jp/

 読者のなかには「そんなん当たり前にやっとるぞ」という方もいると思うが、そのような方法を一切やったことのない営業マンは案外多いのだ。そして、これまでやったことがないというだけで試そうともしない会社も非常に多いのだ。

 生産財企業は属する業種によって、性質が大きく異なる。そして、新しいことに対しては、何かにつけ「ウチはヨソと違うんだから、そんなの無理だよ」と口にする。私に知る限り、そういう会社はホントに多い。

 うーん。違うと思うんだよなぁ、そういう考え方。やってみればいいのに。

 ちなみに自社の製品がリースにできるかどうかはリース会社に電話すればすぐに教えてくれるハズ。変に考えないで聞いてしまった方が早い。

 また、分割については、キャッシュフローの理屈が分かってないと、アブナイこともあるので、経理に相談してからにしましょー。

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◆ESCO事業
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 また、ESCOというビジネスモデルがある。これは最近でてきた考え方なのだが、投資能力を広める効果がある。個人でマネできるものではないが、参考までに紹介しよう。

 ESCO(Energy Service Company)とは、工場やビルを省エネ化してあげる事業のことである。省エネ化するには、機械を交換したり新たに省エネ設備を設置したりとお金がかかってしまう。
ところがESCOの発想はここからがポイント。その設備投資費は、ESCO事業により将来生まれる省エネ代金でまかなおうということなのだ。

例えばある設備を入れると電気代が年間5百万節約できるとする。でもその設備は1千万したとしよう。1千万投資すれば2年で回収できるのは分かっているが、資金不足で1千万は払えない。うーんどうしよう。

そんなお客に対し、ESCO事業社は「設備投資費の1千万はいりませんよ。
その後節約した電気代から支払ってください」といって、設備導入しちゃうわけだ。お客様は初期投資ゼロ。節約された電気代から支払えばそれでOK。

ん。これはビジネスとしておもしろい仕組みですよね。別の事業でも応用できるんぢゃないかと考えているのだが・・・どうでしょうね。

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◆雑談
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 なんてなことを書いてきたけど、はっきり言って、投資能力(つまり予算ね)のない会社に売り込みかけるのは時間のムダ。

 「営業は断られてからが勝負」なんていうけど、「ニーズと合ってない」とか「予算との乖離が激しい」なんてときは売り込むだけムダだ。売り込まずに、信頼関係を構築することにエネルギーを注いだ方がまだよい。

 投資能力がないということは、受注の方程式が成り立ってないといことだ。
ということは、構造的にそれは「受注できない仕組み」になっていると考え、深追いしないことに私はしている。で、違う相手を捜すわけデス。

 えー。次回からは「製品×比較優位」についてのアレコレ。
Vol.015 2003年9月9日
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◆ここ最近のテーマ
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しばらくテーマにするので、再掲しときましょ。

受注の方程式

   受注=(ニーズ×投資能力)×(製品×比較優位)×信頼関係

 1.お客様にニーズがあり、かつ、
 2.お金をもっていて、かつ、
 3.当社にそのニーズを満たす商品があり、かつ、
 4.その商品は競合より優れた個所があり、かつ、
 5.顧客と信頼関係があれば、

 
  ・・・必ず受注できる。


しばらくこのコトについて書いていきまーす。

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◆対面営業の効果
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 もう既に何度も書いちゃってるのでタコ耳かもしれませんが、対面営業の効果は、

 1.ニーズなど顧客情報の収集
 2.製品情報など自社情報の提供


 という2つのコトを同時に行える、っていう点に集約できます。で、この2つのやり取りを通じて、

 3.信頼関係を醸成する

 ・・・ってコトに価値があるのでした。


 で、今日から「製品×比較優位」を考える訳なんですが、最後はこの3つに戻ってくることになりますので、アタマにいれちゃってください。


 さて、マーケティングとしては、本来は製品開発も含めて考えるのが正しいのだけど、ミナサマは「これを売れー」と売らんとする製品がある程度決められちゃってますよね?

 だから今回は、そいう製品について、ベネフィットを考えてみたらどうですか?というハナシです。

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◆製品のベネフィットを考える
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 さて、製品を考える上でよく登場するキーワードがこの「ベネフィット」。
マーケティング論的にはチョー正統派な言葉なので、バリバリ使っていただいてOKという言葉だ。

まずは定義してみよう。

 ベネフィット:財を使うことで享受できる便益(利益、便利さ、満足、効用など)のこと。

・・・というわけデス。

例えば、ドリルのベネフィットは「固いモノに穴を開けること」ですね。このように、ある製品を使うことで得られる便益を「ベネフィット」と呼ぶのです。ちょっと練習してみましょう。

こんどはエアコンを考えてみましょう。エアコンのベネフィットはなんだと思います?

「部屋を冷やすこと」と思った方、ハズレ。エアコンには暖房機能もついてますよね。また、機種によっては脱臭機能などもついてますよね。部屋を冷やしたり暖めたり臭いを取ったりできるということは・・・「人間にとって快適な空気環境を作ること」がベネフィットなわけです。

もっと分かりやすい例として、消費財で考えてみましょう。

家庭用冷蔵庫の競合を考えるとき、ベネフィットに注目するとおもしろい競合先に気づきます。その競合とは「コンビニ」。コンビニが近所にあれば、冷蔵庫が無くたって平気な世代って増えているそうです。

また、ソニーは「プレステの競合は何?」ときかれて、「携帯電話」と答えています。これは「楽しい時間の提供」という点で同質の製品だと考えているわけですね。

プレステをゲーム機と単純に認識するのではなく、楽しい時間を提供するモノという風に認識すると、製品に対する広がりが生まれます。

これがベネフィットの考え方。分かります?

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◆製品のベネフィットを考える
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というわけで、アナタは自社製品のベネフィットって分かりますか?

私はけっこうトコトン考えます。顧客のニーズもトコトン考え、製品のベネフィットもトコトン考える。

私はプラント設備を販売していて、工場などに機器を設置したり配管工事したりとするのです。
で、計画が変わることもあるわけで、顧客からは「機器は予定していたところではなく、こっちに据付てくれ」などいろんな要望がきます。そんな時、私はすぐ「それは何のためですか?」と質問しちゃう。

これを聞いて何を判断するのかというと・・・

「通行の邪魔だから」なら「じゃ歩廊をつけましょうか?」と答えるし、「火災時の避難通路なんだよ」なら「それは大切ですね。おっしゃる場所にしましょう」と答える。

顧客のニーズを把握すれば「歩廊」という建築工事を提案できる場合もあるわけですね。

このニーズをきちんと確認しないで「予定の場所を変えるのはムリですよ!」なんて言ってると、もう埒があかなくなってしまう。

こないだも、ある製品を検討してるんだと言われたので「なぜ検討してるんですか?目的は?」と聞いたことがありました。すると「目的は省エネ」とのことでした。

で、私がやったのは「省エネならこれを買わないで既存設備の運用方法をこう変更すればイイのでは?」という提案。一銭にもならんけど、いわゆる顧客志向の立場で対応したわけです。

結果、製品1つを販売し損ねたともいえますが、どこぞの競合他社に「運用変更で同等の効果でますよ」と同じ説明をされるより遥かにマシ。そんなことされたら、顧客は競合他社の方を信用するようになりますもんねぇ。信用を落とすくらいなら製品1つくらい無駄にしてもイイんです。

 ここで再度「受注の法則」を。

ニーズ×投資能力×製品×比較優位×信頼関係=受注

この式でいうところの「ニーズ」と「製品」とは、まさしく今日のハナシそのものなんです。「ニーズの本質」と「製品の本質」が一致すれば、受注へ向けてまっしぐらに話は転がるもんです。

ええ。そーいうモンなんです。

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◆雑談
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 てなわけで、しばらく製品×比較優位についてポロポロと説明していきますねん。ワタシの好きな分野なので、かなりマニアックなハナシにもなるかも?です。

ちなみに以前、中小企業診断士の読者の方から、

「顧客が本当に欲しがっているのはどのような作用をする商品なのかをよーく知り、商品の中核ベネフィットを売るのが産業用部品では大切」

というメールをいただいたことあります。それだけ大切な概念ってなんでしょうね、やっぱり。さすがにニーズやベネフィットは「王道」って感じですね。
Vol.016 2003年9月16日
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◆製品×比較優位
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 ニーズがあり、それに見合う製品がなきゃ商売は始まらない。そして、商品があるなら、あとはそれをどう売るかを考えなきゃいけない。

 しかも世の中一部の分野を除いて、どれもこれも成熟製品ばかりだ。どうしたって他社との競争になってしまう。

 そこで大切なのが”差別化”になる。それをこのメルマガでは「比較優位」としている。なぜなら差別化という言葉は間違って使われる場合が多いからだ。


 いまや差別化なんて言葉はすっかりフツーになってしまった。どの会社でも平気で使っているし、社長から部長から係長から時には新入社員まで「差別化して提案するのが大事で・・・」なんて語ってる。かつての自分もそうだった。

 診断士である以上、当然、差別化とはどういうものなのか勉強した。そして、勉強すればするほど、いかに自分は恥さらしだったかがようやく分かった、というのがこの差別化なのだ。

知れば知るほど「いかに知らずに吠えてたか」が分かってしまう。そう思うと、知識を身につけるって、恐いことですよねー。


 「差別化」という言葉はこわい

なんでかっていうと、「とりあえずそう言っておけば間違いになることはない」から恐い。つまり、バカでも使える便利なワードになっているから恐いのだ。

 今の時代、差別化が重要なのは当たり前。サルでも言える。
 大切なのは、「何をどう差別化するか」だ。思考はこの「問い」から始まる
あなたが「いまのままじゃいかん。差別化しなきゃ」と思っていたのなら、まずは自分に問いかけるべきだ。「何をどう差別化するのか?」と。

 あなたの上司が、「いいか、他社と差別化してだな・・・」と言い出したら、「何をどうやって差別化するんですか?」と聞いてやればいい。別に意地悪しろと言ってるんではない。これに答えられなきゃ「差別化した」ことにはならんのだし、そもそも答えられないなら差別化なんて実現しない。

 vol11で解説した「ニーズ」もそうだが、「それっぽい言葉」って、本当にこわい。それっぽい言葉はどんどん生まれている。振り回されないようみんなも気をつけてね。
 
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◆雑談
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 というわけで、差別化についてちょっとガルルルルとうなってみました。

「差別化」については世界最高とも言われている経営学者、Mポーターの論を聞かずして語るなかれ。ってわけで、また後日解説するときがくると思います。

 カンタンに説明すると、「これから当社はコスト・品質・納期とあらゆるニーズで他社と差別化し・・・」というようなことを平気で言っちゃう人は明らかに差別化を知らないってことなんです。コスト・品質・納期の全てを差別化できる会社なんてほぼ絶対にない。これが、ある意味で差別化の本質なんです。

 さて、次回は比較優位についてもうちょいフカボリします。んー、ひょっとするとまた金曜日は発行できないかもしれないのでそんときゃごめんなさい。
Vol.017 2003年9月19日
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◆比較優位の作り方
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 競合他社に対しどうやって一歩抜きん出るか?

これこそがまさしく比較優位になるわけだけど、これがナカナカ難しい。イロイロと知識だけはあるもんだからトライはするんだけど、やはりそうカンタンに理論通りにいくもんでもないんだなー、やっぱり。

めいぃぃぃっぱい!って程ではないだろうけど、巷に出ている理論はそれなりに実践してきました。まぁこれは「比較優位」とは関係なく、「90日で儲かるDMの作り方」とか「飛び込みセールスの極意」みたいなモンとかとりあえずはやってみてはいる。

本のうたい文句は「超実践的!」という風になってんだけど、実践してもうまくいかないんだよねぇ・・・悲しいながら。


で、比較優位。
例えばDMなんかを作るときも、やはり「比較優位」を描いておかないと大変困る。製品紹介だけはスラスラっと書けるが、「何を売りにするか」を見極めるのは以外に難しいモンだ。

それを浮き彫りにしてくれる理論がいくつかある。それを紹介しよう。

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◆プロダクト・オーグメンテーション
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プロダクト・オーグメンテーションという言葉がある。「製品拡充」と訳されるが、まずはコイツを理解しよう。

さて、vol15で製品ベネフィットを学んだ。「ドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだ!」ってアレです。ソニーが売るのは「プレステでなくて楽しい時間だ!」ってアレです。

ベネフィットは、それはそれで大切なのだが、それだけじゃぁ足りない。それだけじゃぁ比較優位は作れない。どうすればイイのか?

それに答えるひとつの考え方が、「プロダクト・オーグメンテーション」である。


なんなのかっていうと、言葉ほど難しいハナシではない。
ホントに一言でいうと、「製品に付随する付加的サービス」これをデザインすることがプロダクト・オーグメンテーションといえる。

ん?ちと伝わらんか。

もうちょい説明すると、「工場で作られた製品そのもので競争するんでなく、そこに付与されるもの・・・パッケージング、サービス、広告、顧客へのアドバイス、ローン、配送、保管など・・・をひとくるみにして考えましょ」ってコトなんです。

例えば、眼鏡なら「レンズ」だけでなく「フレームの種類」や「ディスプレイの仕方」、「店舗イメージ」までをひとつのパッケージとして販売しましょってことなのだ。

この概念を提起したSレビットという人の本から抜粋しよう。

「IMCという会社が競合他社に大きく差をつけて成功している。なぜかと いうと、価格が安いからでも納品がきちんとしているからでも営業マンが昼 飯をご馳走してくれるからでもない。潜在顧客が抱える経営上の問題を慎重 に分析し、その結果に基づいた創痍あふれるサービスを提供しているからである。つまり、IMCは製品とサービスのパッケージの一部として、経営コンサルティングを無料で顧客に提供しているのだ。その結果、同社と取引することを選ぶ特別の理由づけが潜在顧客に与えられる。」(『レビットのマーケティング思考法』S.レビット)

んー、ちと長かったか。
要するに、この会社は「製品+経営コンサルタント」を1つの商品パッケージとして販売しているのである。彼らが他社に対し比較優位をつけているのは製品ではなく、なんと経営コンサルタントという付帯サービスなのである。


さて、世の中にはいろんなため息がある。特に東京では新橋あたりにため息が多い。

「どうせウチの製品はヨソより高いしなぁ・・・」

「あんなのその辺の会社にだって作れるよなぁ・・・」

んー・・・。そうね、きっとそうなんだよね。でも、「製品が高いから売れない」というロジックは、なんとなく違うと思いません?

製品が高くても、付帯サービスが良ければ売れるかもしれないよね?さっきのIMCのように。

あなたの会社はどうですか?
製品に”何を”付帯させると比較優位を作れると思いますか?
Vol.018 2003年9月23日
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◆差別化へのため息
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 Vol.016「差別化、こわいこわい。」の巻で、単純に「差別化して提案するのが大事で・・・」とエラソーに言うモノドモをあほぽん呼ばわりしたわけですが、今日はその差別化を紹介しましょー。


 中小企業診断士であるだけに、「差別化」についてはきちんと理解しているつもりだ。
ところが、理解しているが故に、普通にサラリーマンをしていると、言葉が上手く通じず困ることがある。社内で誰かが「差別化」と言ってるのを聞いてると、違和感を覚えることが多いのだ。

 彼らの言い方はこうだ。

 「いまの時代、製品に特徴出してさぁ、さらに他社より低価格にしてヨソとの差別化をしなきゃぁ・・・」

ウム。一見、正しい。この言葉からは誰だって、

 ・そりゃ製品に特徴出すのは大事だよね。ウンウン。
 ・加えて低価格となりゃぁ鬼に金棒。サイコーだよね。ウンウン。

・・・って思うに違いない。

ところが、「じゃぁそれはどうやってやるんですか?」と質問すると、

 そう!問題はソコなんだよ!なんかアイデアない?

なんて逆に質問されちゃう。フー、といつも私がため息でる瞬間デスアホかっちゅーねん。んな返しするくらいなら黙ってろっちゅーの。

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◆差別化の誤解
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私が不満なのは、別に「具体案がない」からではない。

そうではなくて、「差別化が分かってない」ことに不満なわけだ。差別化が分からないからヘンな思いつきでしゃべる輩が多い。

結論から言っちゃうと、通常、「差別化する」といえば、それは

 「他社とは何らかの違いを与えるが、価格は他社より高い」状態

・・・を指す。

だから、「いまの時代、製品に特徴出してさぁ、さらに他社より低価格にしてヨソとの差別化をしなきゃぁ・・・」という製品と価格の両面を同時達成しないとダメみたいな言い方は一部の例外を除き『実現不可能』なのである。

「具体的には?」と聞くと誰も答えられないのは、これが理解できてないからだ。そりゃーそうだ。最初っから『実現不可能』なことなんだから、具体化しけばいくほど不可能性があらわになるだけだ。

解決しようと思ったら、よっぽど違う発想でブレイクスルーするしかない。
それこそ机にへばりついてエラソーにしているボンクラ上司ごときにできるわけがないっ!しまいにゃぁテメーが答えられないくせに、具体的なことは現場が考えるもんだ具体化できないのはキミたちのセイだのなんだの・・・あーうるせいっっ!!

・・・ゼーゼーハーハー。・・・コホン。
ちと取り乱しました。

まぁ『実現不可能』というのは言い過ぎなんですが、実は差別化とは、ココの理解なく前へは進めないハナシなんです。ココというのは・・・

◎製品に特徴をだすと、コストがあがるのが原則
◎コストを下げると、製品がフツー(並ってことです)になるのが原則


コレ。ここを原則として踏まえることが大事なんですね。つまり・・・、

   「製品に特徴を出すこと」と「コストを下げる」ことは、トレードオフの関係にある

・・・わけなんです。

トレードオフというのは、そうですね、天秤をイメージしてください。一方を下げると、反対は上がる。逆に一方を上げると、反対は下がる。そういう状態をトレードオフの関係といいます。


製品に特徴があり、価格も超安い・・・イイですね。確かにイイ。でも、それは『原則からすると出来ないこと』と認識することは非常に重要なんです。
 
ちょっとイメージを膨らませるために・・・例えば、ある女性に「どんな人と結婚したいですか?」と質問しました。

「えーとぉ、わたしぃ、背が高くてぇ、太ってなくてぇ、英語ペラペラでぇ、弁護士か医者やっててぇ、サッカーが上手くてぇ、スキューバ教えてくれてぇ、顔は坂口クンみたいな人」

ええと・・・グーでパンチします。しかも予告なしで。

そんなわけで、私に殴られて彼女はイタイ思いをします。しかも、そんな人いそうにないのでいつまでたっても理想の人に出会うことはありません。

確かに、英語はしゃべれないよりしゃべれた方がイイし、弁護士だって資格はないよりあった方がイイ、サッカーもヘタよりウマい方がイイ。でも、そんなヤツはいないんです。

個人レベルなら、いないオトコを求めるのもイイ。けど、会社はそうはいきません。いないオトコを求めるために資源を使うわけですから、それは損失として確実に跳ね返ってきて、倒産まっしぐらとなるわけです。


このハナシ、実際はトレードオフの関係になっているとは言い難いので、例えとしては間違っているのですが、製品に特徴を・・・価格も超安く・・・となんでも欲しがる人って、だいたいコレと変わらんのです。


ええと。今日はこのヘンで終わり。差別化の詳細については、有名な「競争戦略」を交えてフカボリしてきます。

 ちなみに先に言っておくと、前回の「プロダクト・オーグメンテーション」とこれから説明する「差別化」は、理解するとぐちゃぐちゃっとドッキングし、比較優位を考える上で大きな役割を果たします。

プロダクト・オーグメンテーションは「オマケで比較優位を作ろう」ということでしたよね。でもオマケを充実させるとコストアップになるわけで、価格競争では不利になりますよね。これがトレードオフですね。

さて、じゃぁどうする?トレードオフが原則なんだからあきらめるのか?それとも別の手を考えるのか・・・

今日ハナシたことが感覚的に分かると、コウするとアアなるからどうしよう、じゃぁアアしたらドウなるからコウしよう、っていうようなアイデアが浮かんでくるようになります。

営業マンレベルでも「あんなことできそうだ」ってアイデアが浮かんでくるようになります。これは実体験してるので間違いない。

んで、原則を踏まえながらのアイデア構築だから、それがそのまま戦略や戦術になってしまう!ってわけなんです。慣れるとおもろいですよん。

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◆雑談
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余談だけど、中小企業診断士試験には2次試験ってのがあって、これは事例企業について戦略提起する試験なんです。A4で2〜4枚くらいにわたり企業概要とか市場環境とかが書かれていて、どういう戦略・戦術をとるべきかを答えさせるわけだ。

まぁさ、ボクぐらいになると秒殺ね。どうすべきかスグ分かっちゃう。自動販売機のボタン押すようなもんね。目を通せば答えね。

実際、プライベートでたまに受験指導してるからわかるけど、診断士に合格している人はアイデアから戦略構築まで組み立てるの速いですよね、やっぱり。

 ま、もちろん試験で扱う戦略・戦術はあくまで机上の試験のハナシであって、実ビジネスとしては診断士の資格なんぞ飾りにしかならないのですが。まさしく「ないよりあった方が良い」ってのが資格なわけだなぁと改めて納得。
Vol.019 2003年9月26日
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◆差別化とは・・・前号の復習
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 今日はちょっと本格的な理論をご紹介しよう。前回の予告とおり、差別化についてだ。これを説明するには、経営戦略の大御所、ポーター教授に登場してもらうしかない。

その前に、復習のために前号のサマリーを書いておくと、

 「いまの時代、製品に特徴出してさぁ、さらに他社より低価格にしてヨソとの差別化をしなきゃぁ・・・」

 という一見正しそうに見えるこのハナシ、実は実現が非常に困難なわがままな意見だった、ということを説明した。

んで、じゃぁ差別化とはなんぞや?という問いに、

 「他社とは何らかの違いを与えるが、価格は他社より高い」状態

 と答えたのでした。んで、その理由として、

 ◎製品に特徴をだすと、コストがあがるのが原則
 ◎コストを下げると、製品がフツー(並ってことです)になるのが原則

であるため、

   「製品に特徴を出すこと」と「コストを下げる」ことは、トレードオフの関係にある

ということを解説いたしました。前号はこちら↓
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◆ポーターの競争戦略
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 さてと。
 以上のことをきっちり体系化したのが世界最高峰の経営学者ポーターだ。

ポーターは史上最年少でハーバード大学の教授になり、現代最も優れた経営理論家とされている人である。つまりとってもエライ人なのである。

彼は、「競争戦略」なるものを次のように体系化した。

+―─────────+──────────+
|コストリーダーシップ| 差 別 化 戦 略|
+―─────────+──────────+
|        焦点戦略         |
+―────────────────────+

                    ※等倍フォントで見てね。

企業が競争に勝つためにとる戦略は、3つしかない、と彼はこの表を作った。
3つとは表にある、
 
  • コストリーダーシップ戦略
  • 差別化戦略
  • 焦点戦略

・・・のことだ。

彼は、「(原則、)この3つのうち、どれか1つしか選べない」としたのである。前回解説したトレードオフの関係を思い出して欲しい。まさしくその関係にあるとしたのである。

ちなみに、トレードオフとは「一方が上がると他方が下がるシーソーのような関係」のことだ。

ポーターは、この3つはトレードオフの関係にあるので、企業はどれか1つしか選べない、と言ったのである。

なんでそんなことを堂々と言えたのか?
その理由を考えるため、コストリーダーシップ戦略を取った場合と差別化戦略をとった場合とを比較してみよう。

○コストリーダーシップ(低価格)戦略をとった場合

コストリーダーシップ(低価格)戦略をとるためには、その方針のもと、全社的に「低価格」を目指さなければならない。どうやって低価格にするかというと例えば・・・
 
  • 製品ラインナップを絞り、
  • 製品を標準化し、
  • あわせて生産工程を標準化し、
  • 特急注文対応などはせず、
  • その製品の宣伝費を削減し
・・・といった方法で低価格の実現を目指す。
 その結果”必然的に”、「ラインナップが少なく顧客の特急注文要求などには応えることが難しいが、価格は安い」というコストリーダーシップ戦略を実現することができる。


○差別化戦略をとった場合

 差別化戦略をとるためには、その方針のもと、全社的に「差別化」を目指さなければならない。それには例えば・・・、
  • 製品のバリエーションを増やしどんな希望にも応えられるようにし、
  • そのためには柔軟に生産ラインを組替えられるような生産設備を投入し
  • 特殊な生産工程管理ソフトを導入して特急注文にも対応したり
・・・といった方法で差別化の実現を目指すことになる。
その結果”必然的に”、「顧客の要請に柔軟にこたえられるという差別化戦略を実現できるが、コストは高額になる」という体制になる。

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◆つまり、なんじゃらホイ。
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 えっと、ちょっとややこしかったかもしれませんが、つまりですね、差別化戦略をとるにも、コストリーダーシップ戦略をとるにも、ポリシーを絞り企業全体で活動していかないと実現不可能ってことなんです。

差別化戦略を取ろうとすると、必ずやらなきゃいけないことが発生し、それは必ずといっていいほどコストアップ要因となる。そのため、必然的にコストリーダーシップは達成できなくなる・・・つーことなわけだ。

あっちは低コスト戦略、こっちは差別化戦略・・・というふうにチグハグにつなぎ合わせると、結局どちらも出来なくなるんですね。(念のためだが、ポーターは両方を達成している企業も稀だけどあるとしています)


ちなみにポーターはトータルでの企業活動の重要性を数式で表現してる。

「0.9×0.87×0.92×0.8×0.82×0.85=0.4」

 1つ1つの工程を8割の出来でクリアしたとしても、トータルでの成績は0.4にしかならない。そんなんじゃぁダメだ。やっぱり、

「1×1×1×1×1×1=1」

 ・・・というように全工程で10割を達成しないとダントツな企業にはならんのだ。だから、1つのポリシーを決め、全社的に取組まないと競争に勝てないのである。

ってな具合。

詰まるところ「差別化するのか低コスト化するのか、グダグダいわずにどっちか決めろコンニャロー」ってことなのである。あっちもこっちもと各セクションみんな8割まで努力して底上げしても、結果として悪い会社にしかならないわけなんですね。

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◆雑談
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 とまぁ差別化とはどういうことか書いてきました。いやー、ポーターの競争戦略は本を持っているのだが、どうも実家に置いてきてるようでして、しっかり確認できなかったのが残念。ま、多分間違ったことは書いてないハズです。あったら是非指摘してください。

 とにもかくにも「製品に特色出して、コストも安く。」という言葉にどれだけ無理があるか分かっていただけたでしょうか?

 しかし、よく分かったとしても、今日のハナシじゃぁ経営者にでもならんと使えないじゃん!ってなっちゃいますよね。

 「あのなぁ。俺は営業マンだよ。頼むから俺の役に立つ話をしろよ!コンチクショー!」とご立腹なアナタ!

 メルマガはタダなんだから怒るなよっ!という言葉を飲み込み、そんなお怒りを静めるためにも、次回は営業でどう使うを考えてみましょー
Vol.020 2003年9月26日
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◆これまでのおさらい
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 んー、気が付けば新しい購読者も増えてきました。ちなみに3誌あわせて436名。500名が見えてきた。読み続けてくれてる人も新規に登録してくれた人も皆様ありがとうございます。ホントに。
 

さて、新規の方も多くなってきたようなので、ここでこれまでの話をちょっと振り返ってみとこーかなと思います。ずーっと読んでくれてる方は、復習してみてくださーい。


 営業マンのによる販売活動とは、突き詰めると、次の3つにまとめることができます。
  
  • 顧客情報の収集
  • 自社製品情報の伝達
  • 信頼関係の構築
 皆様自身が日々行って入ることを振り返ってください。絶対コレを行っているはずです。

 詳細は Vol7 営業というお仕事 を参照ください

 で、これをもう少し展開すると、次の方程式になるわけです。

  受注=(ニーズ×投資能力)×(製品×比較優位)×信頼関係

 先の「顧客情報」は「ニーズ×投資能力」と対応しており、「自社製品情報」は「製品×比較優位」と対応しているわけですね。

 この式で言いたいことは・・・
 
 1.お客様にニーズがあり、かつ、
 2.お金をもっていて、かつ、
 3.当社にそのニーズを満たす商品があり、かつ、
 4.その商品は競合より優れた個所があり、かつ、
 5.顧客と信頼関係があれば、

  
 ・・・受注できる、ということなんです。


 ちなみに、よく、営業マンにとって、訪問回数×面談時間が大切といわれるのは、接触時間が長くなると・・・
  • 顧客ニーズを聞き取る機会が増える
  • 自社製品を伝える機会が増える
  • 顧客との信頼関係を作りやすくなる
 という3要素を高めることができるからだ、とも書きました。このときは、「フムフムなるほど、そいうことだったんですか」というメールをけっこう戴きました。

 詳細は Vol7 営業というお仕事 を参照ください

 さてさて、皆様どこまで覚えていました?
ってか、振り返ると、話が全然進んでないような気もしてきた(^^;

ま、日々やっつけで書いてるんで、なかなか章立てしたようにはいかないもんです。カンベンしてください。

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◆はたしてどれだけの人に知られているのか?
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 というわけで、唐突に本題に入りますが、「製品情報を顧客に伝える」ことは営業マンにとって大切なミッションになるわけです。

 ところで、あなたの売っている製品名って、いったいどのくらいの人が知っているのか考えたことありますか?
 アナタ自身が歩き回って宣伝した人数ではなく、他の営業マンや宣伝による効果も含めてです。

 実は自分自身、大ざっくりに計算したことがあるのですが、あまりの少なさに愕然としたことがあります。
私の扱っているのはプラント設備なので、当然(といってしまってはいけませんが、)ながらマスメディアを使った広告は打ちません。せいぜい業界紙程度。

 私のような高額生産財を取扱っている場合、はっきりいって、計算するとあまりの認知度の低さに愕然とするはずです。特に、会社名ではなく「製品名」で考えるとめちゃ低い。

 試しに皆様も計算してみてください。やり方は簡単。派手に宣伝広告してないのなら、「営業マン×顧客数」でいいし、見本市みたいなところに出展しているなら、資料請求の数を加えてあげたらいい。1社につき複数のお客さんがいるなら、2倍とか3倍しちゃえばいいんです。
根拠なんてテキトーでいいですから。思い切って目安となる数字を出すことに意義がある

 例えば次のような場合。

「A課は課員5人で、新製品のA製品の販売を任せられている。課員は自分の持ち客に新製品の宣伝をした。持ち客は1人あたり50社である。」

 というのなら、5×50=250社 となる。また、顧客1社当り3人に宣伝したというのなら、250×3=750人 とすればよい。

750人っていったら、日本全国で考えたらもーね、ホント豆粒。でも、高額生産財製品の場合、そいうオーダーでも不思議じゃないと思うんだよなー。ヨソの会社はどうなんでしょ?

一方、低額生産財の場合、まさかそんなオーダーでは済まないでしょう。もっと顧客数を多く取らないと会社が成り立たないハズなので、もっと大きな数になるハズです。

他業界のことになるとナカナカ分からないことも多くなるので、読者の方で計算した人がいたら是非教えてくださーい。

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◆単に知られてないだけで売れないのかもよ
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 ともかくこうして出た数字をみると、どうでしょー?

たとえば国民の何%が当社の製品を認識してるんだろー?と考えると、ゲンナリする。750人/1億人だもんねー。超ローカル。

「んなこといってもサー、高額生産財なんてものは日本国民全部に知られる必要はサラサラないじゃーん。」

という声が聞こえてきそうだが、じゃぁ市場の何%くらいが認知しているのかを考えてみるとよい。おおザックリで販売対象となる顧客企業数を上げて、計算してみると面白い。

 難しいのは市場規模の測定ですね。生産財の場合、資料が少ないことが多く、マーケティング計画の立案が難しい場合もある。

それでも、例えば「日経テレコン」で業種別企業一覧を出して推定するなど方法はある。ちなみに「日経テレコン」は野村證券とかに口座を持っていれば、使えます。個人レベルでもちょっとした努力で市場規模の推定くらいは出来ちゃうものなのよん。

で、こうして調査した市場をベースに認知度を計算してみると、おそらく、想像している以上に低い数字になるはずだ。
一瞬、ドキッとするほど低い数字が出る人もいると思う。「市場のほんの数%にしか知られてないのか・・・」という事実は、けっこうシビアだ。

 たとえ比較優位のある製品だとしても、知られてないんじゃ売れるわけない。
そりゃそーですよね。知らないものは買いようがないもん。

 あ、いいねこのフレーズ。最後にも一回書いておこう。

「知らないものは買いようがないじゃん。こんちくしょーめ。」

 そんなわけで、広く知らせる方法は、生産財企業といえども研究していかないとイケナイ。でも・・・宣伝広告を全然やってない企業は多い。それが生産財企業の実態。
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