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三次実習体験記

(内容は基本的に01年1月当時のものです)

実習当時のオレ一覧
・年齢:30歳(01年1月当時)
・職業:某メーカーの営業マン。

 受験生ならご存知の通り、実習スタイルは次回から大きく変更される予定である。というわけで、今後の参考なんかになりゃしないが、暇つぶしに読んでくれたまえ。なお、診断自習は「守秘義務」があり、どーんと公開できない約束になっている。こんなくだらんホームページのために資格を失いたくないので、隠すべきことは隠しております。

☆中小企業診断士化されゆくページ終了までの足音がもうそこに
受けてきました診断実習。「合格で書類は出した」という先生の言葉が嘘でないのなら、私は旧制度最後、21世紀初となる中小企業診断士として登録することになる。
そして今、試験制度が変更されるので、意味のない体験記になりそうな気配をヒシヒシと感じつつ、カタカタと中小企業診断士化されゆく最後の関門を大公開するのであった。

☆実習初日の戦い
まずは大まかなスケジュールを説明しよう。

    1月10日     :講義(座学)
    1月11日〜17日:1社目(ヒアリングから報告まで)
    1月19日〜25日:2社目(同上)
    (1月18日はお休み)

となっている。班によっては1社目、2社目を同時並行で作業を進めるところもあるそうな。
メンバーは5人。5人で経営基本、販売、労務・・・と全部で9科目を担当する。経営基本は単独1科目で、残りの8科目は1人2科目担当することになるのであった。
1社目の担当は初日に決めることになった。皆初顔合わせなわけだから、誰とも分からぬ者達と壮絶な心理合戦が繰り広げられる。既に戦いは始まっているのだ!ボクの念頭にあったのは・・・

 「財務は徹底回避」

これです。勉強だから苦手な科目ほどやった方がいいという意見はもー、まさしくおっしゃる通り!おっしゃる通りです。おっしゃる通りだから、そのまままおっしゃるだけにして下さい、お願い!
というわけで、ヘコヘコなボクは様子を伺っていたところ、

実習生「じゃ、私が財務を」←この人税理士
(らっきー、さすが税理士センセ!えらいっ!)
先生「いやー、プロがやるんじゃおもしろくないなぁ・・・」
(何を言い出す!いいではないかいいではないかいいではないかぁぁぁ)
先生「そうそう、情報部門は2人いるから、それぞれ1社ずつ担当して・・・」
ボク「はいっ!はい!義務であれば仕方ないっす。ボクがやらさせていただきます」

というわけで、情報・国際化をゲットし、見事迂回作戦成功とあいなりました。

というかね、ボクがやってたら、ホントにやばいことになったと思う。報告書全体が終わらなかった可能性が高い。単なる財務分析なら、多分できる。実習前に復習だってやりました。でもね、3ヵ年計画の立案が必要だったのです。初期借入いくらだとキャッシュフローがどうこうだからほにゃららだとか何やら難しいことやらなきゃいけないのでした。この計画作りをしたのは、財務担当の人ではなかったのですが、正直言って、すごいと思いました。と同時に、財務は必須と思いました。イヤでも身に付けておかないと、診断なんて絶対できない。話を聞いてるだけなら、もちろんきちんと分かりますよ。でも、自分で財務諸表をもとに、将来の計画まで積み上げていくのは僕には出来ない。

それと話はそれますが、必要なのは情報化の知識。今の世の中、情報化を知らないと、戦略そのものを構築できないことが多くなっているようです。また、社長さんも情報化について飢えています。知りたがっている。

というわけで、受験生諸君。財務はきっちりやりなさい。分からないことはボクに聞きなさい。「自分で調べてこそ身につくのだよ」と的確なアドバイスでばっさり切って差し上げます。

ちなみに2社目は経営基本でした。もう顔を合わせて1週間経っており、だいたい誰がどんな人かは分かってくる。というわけで、誰も私に財務やってとは言ってきませんでした。だんだん私の化けの皮が剥がれてきたってことですね。ハイ。

☆企業診断の実際
さて、1社目。守秘義務守秘義務とびびっていてはおもしろくない。そこで、思い切って守秘義務を超えて大公開!

この会社、包丁に家紋の代わりに「キティちゃん」と「お客様の名前」を掘り込んで、ヤンママ向けに販売しようとする会社でして、『キティちゃんでキティとキッティ(きちっと切って)』という苦しい売り文句で通販しようとする会社でありました。その名も「株式会社キティカット」。
社長の話によると、間違って『キティちゃん「を」キティとキッティ』と言うビラを作り、「私のキティちゃんを切るなんて!ひどい!」と悪魔呼ばわりされた経緯があるそうです。

えー、嘘です。

コホン。
1社目は、ここがなんと経営革新支援法認定企業でありまして、といわれても診断士2次試験の勉強をしてない人はわからんだろうけど、要するに今、注目を浴びている法律の認定企業なのである。よって、研究開発型ベンチャー企業の生態をじっくりと観察することとなりました。
社長さんはすっごいヨイ人。研究開発を重ね、やっと勝負できるところまで製品を完成させ、自分の製品には強い自信を持っていらっしゃる。話聞いていて、この会社の社員が羨ましくなりました。社長には申し訳ないが、はっきりいって事務所はボロ小屋そのもの。でも、将来はおっきなビルが建っているかもしれません。そういう可能性を大きく感じさせる企業でした。あぁ、研究開発型ベンチャーの社長ってなんかイイなぁと思ったものです。
私の担当は先も述べたように、「情報」と「国際化」。情報機器なんてPCがちょろっとあるだけだったんですが、HP活用型超戦略的情報化計画をドバーンと控えめに提案してきました。かなりベーシックな内容だったのですが、社長のニーズにははまったようでして、エセ情報部門の私はすっかり詐欺士気分です。

訪問初日に情報化には興味持ちつつも「HPではモノは売れないよなぁ」なんて言っていた社長も、メモを取りながら聞いてくださり、ウンウンと納得してくれたのは努力の甲斐があったってもんです。

次、2社目。こっちは経営革新支援法認定企業を目指そうとしている会社でして、現状がちょいと行き詰まりぎみなので、経営革新を図ってなんとかしていこうと頑張っている企業でした。
分野でいくと、建設業絡みでありまして、日ごろ建設業関係に痛い目を見てる私は、すっかりビビってしまいました。ヒアリングの時は、非常に丁寧に対応して頂きましたが、心の奥底で拒否反応を示している私がおりました。職業病ですかね。

ヒアリング後、「いやー、紳士な社長ですよねー」と言う班のメンバーに対し、「あの笑顔とあの福耳は信用しちゃだめだー!丸顔だからって皆アンパンマンみたいに正義の味方ってわけぢゃないんだぞー!」と強く主張したものです。気合を入れないと怖いよーと黄色信号を発信しておりました。
ともかくも作業に取り掛かるわけですが、先生からの情報によると、かなり経営の勉強はしており、特に哲学チックな分野には相当お詳しいとのこと。
まいった。オレの担当経営基本管理ぢゃねーか・・・。どうしても抽象論は避けられない・・・。報告会でイヂメられるのはイヤだ・・・。えーん、あの太い眉毛怖いよーと涙でそうでありました。

コホン。7割嘘です。

実際は、ヒアリングにかかわらず報告会でも非常に丁寧に対応してくださり、理念も高く、頼りがいのある親分肌の方でした。今の時代、ボッシータイプの社長の方が魅力を感じますね。

まぁ、ともかくヒアリングで社員の定着率の悪さを嘆いていらっしゃったので、経営基本でありながら労務系の話を中心に書くことにしたのでした。外部環境の調査でも、業界動向や他社動向といったものではなく、ちょっと視点を変えた調査内容にページを割きました。「フフフ・・・業界離れれば社長も手を出せまい。これなら難しい質問はしようにもできないだろう・・・」と夜中に一人怪しげな笑みを浮かべていたことはここだけの秘密である。

いやいや、そうは言っても、まじめにやりましたよ。実際、この視点はおもしろかったらしく、大きく頷きながら、聞いていただけました。あー、良かった殴られないで。
ただ、この会社は、労務系の規則や財務面での管理など土台はほぼ出来上がっていたので、難しかったです。特に人の問題は手をつけにくい。

 

☆実習を終えて
我が班の場合はついてくださった先生が、温和な方で、非常にやりやすかったです。
2社目は、当初、経営革新プランの構築をやれといわれたのですが、やっぱりこれは難しい。まぁアイデア出すのは比較的得意なんで、他の人以上に量産するのですが、基軸になりそうなプランにまで持って行けませんでした。

で、先生はと言うと、僕らの進捗具合に合わせて、ハードルを低くしてくれるんですよねー。甘えちゃいけないと思いつつ、方針決まらぬままズルズルいくと報告書そのものが間に合わなくなるので時間と相談しつつ報告書を仕上げていきました。

ちなみに睡眠ですが、班のメンバー皆、だいたいAM2時〜AM4時の間にお布団に潜り込むようなペースだったみたい。何日かは早々と眠れる日もありましたが、やっぱりハードであることは間違いない。
ただですね、事前にキツイと聞いていたせいか、想像してたより楽でした。某班の商店街チームはきつかったみたいだけど・・・

お金はというと、日々の昼飯・2回の飲み会・その他コピー代や製本代を含め、全部で3万ほどかかりました。
また、ノートPCは必須です。診断士は既にEメールを始めとしたネットワーク技術に大きく依存してるし、報告書の作成でPC抜きは考えられません。まさに実習のために購入したと言っても過言ではない僕のVAIO君は、大活躍でした。

最後に、打ち上げのビールは旨かった。すんごい旨かったです。久しぶりに爽快感を覚えました。さわやかさんです。

FLICメンバー、弱小、ねくすと勉強会、その他お世話になった皆様、本当にありがとうございました。診断制度が代わり、頼りない私はますます頼りなくなるわけですが、できる範囲で今後も協力させていただきます。



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