戦略
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戦略鍋:情報〜中小企業診断士の偏見的戦略論

情報の共有化とは?

○広義の情報の共有化
会議、朝礼、人事異動による交流などを通して、広く会社情報の共有をはか ること。情報の共有化というより、共通認識を育てるという意味に近い。

○狭義の情報の共有化
「誰でも、いつでも、どこででも、同じもの」を複数員間で再利用できる状 態のこと。一般な情報診断では、主にこの狭義の情報共有化が対象となる。

 現実には、広義と狭義を区分けしてる人は少ないようで、共有化が重要重要 と叫んだあげく、会議を増やすことに注力し仕事に滞りがおきるなんてことが ある。こんなとき、会議の質が悪いと最悪である。イヤになります。ちなみに 私の勤める会社がそうである。

○情報の共有化はなぜ大事?

 会社にある「情報資源を有効利用するため」に必要である。
 →競争優位・スピード化・顧客満足度向上
 →「継続する企業」としての存立基盤確立
 →などなどイロンナトコロで共有化は基礎となる。ちゅーわけで、現代の企業経営の重要なカギとなっているのです。

ここまではまぁどうでも良いのだが、大切なのは次から。
自分でいうのもなんなんだが、情報の共有化を下記のように単純化し分かりやすくまとめている本はないです。こんなキレイにまとめるなんて、えらいオレ様!覚えておくと、いろんな場面できっと多分役に立つハズです。

【情報の性質】

情報の共有化に関する基礎的な考えは、この表に全て盛り込まれています。
共有化問題は、二次試験でも会社内でも取り扱ってますが、この考えを土台に置く限り、間違えることはないと思います。まぁ、一応解説も書いておきましょう。

○情報の価値
  共有化以前に、押さえておく必要のある事は下記の2点。

  1.タイムリーでない情報には価値はない→即時入力の重要性
  2.体系化されてない情報には価値はない→標準化・システム化の重要性

というわけで、即時入力の体制を整える標準化・システム化する ことは 共有化以前に大変重要なことである。

○共有化までのステップ
では、(狭義の)情報共有化を実践するにはどのようなステップが必要か?
  1.収集
  2.入力
  3.体系化
  4.蓄積
  5.出力
  6.活用
これが全てできて、初めて共有化「効果」が発揮できる。

○共有化達成のためのデータ環境整備
上記のステップそれぞれを達成するのに重要なキーワードがある

 収 集→情報リテラシの向上
 入 力→情報機器の適正台数配置+適性な処理能力+パソコンリテラシの向 上+使いやすいユーザーインターフェイス
 体系化→業務の標準化・システム化
 蓄 積→適性能力のある情報機器(サーバー)整備
 出 力→情報機器の適性台数配置+適性な処理能力+パソコンリテラシの向 上+使いやすいユーザーインターフェイス
 活 用→情報リテラシの向上

○共有化達成のための活用環境整備

 データを整理整頓して蓄積し、ユーザーの情報リテラシ向上、パソコンの配置  をおこなっても、それだけでは「誰でも、いつでも、どこででも、同じもの」という  状態は達成されない。この4要素を満たすためには…

  ネットワーキング

 これが必要である。共有化すべきデータ環境を整え、ネットワークで接続することで  4要素は達成される。

○共有化のキーワード
というわけで、共有化問題が出た場合は、

標準化・システム化、情報リテラシ、パソコンリテラシ、台数、能力、イン ターフェイス、ネットワーク

をチェックする必要がある。

○具体的な共有化達成ツール
以上のうち、入力‐体系化‐蓄積‐出力 を実現するシステムの代表がRD Bとグループウェア。両者の特徴は

 RDB:定型情報の共有化
 G W:非定型情報の共有化

と区分することができる。
(2001年11月11日 日曜日)

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経営情報システムの発展経緯(MIS→DSS→SIS)

1.基礎概念:意思決定について

意思決定の分類 内容
MIS
(サイモン)
構造的(定型的)意思決定 ルーチン的反復的業務、手順が明確
非構造的(非定型的)意思決定 臨時的・例外的、勘・経験
DSS
(スコットモートン)
構造的意思決定 ルーチン的反復的業務、手順が明確
半構造的意思決定 構造的と非構造的な物が混じった意思決定
非構造的意思決定 臨時的・例外的、勘・経験


サイモンの意思決定理論はあまりに有名だが、この分類は現実的ではないとされている。なぜなら、日常の意思決定は構造/非構造と明確に分類できることはほとんどありえず、半構造的意思決定が多くを占めるといわれているからだ。
そもそも情報システムを語るには意思決定をまず知るべきである。情報処理と意思決定は、ほとんど同じ意味だといってよい。情報を処理するとは絶え間ない意思決定を経て行われることであり、意思決定とは絶え間なく情報を取捨選択しながら行われるからだ。

2.MISとDSSの比較
1)歴史的流れ
1962  ギャラガー 「MISアプローチ」
MISとは:企業の情報をデータバンクとして貯蔵しておき、各階層の情報利用者は欲しい時に欲する場所に居て欲する情報を手に入れる事が出来るシステム

1970 MIS失敗! ギャラガーのMISという考え方の問題点
・必要な情報はあらかじめ意思決定者が熟知してるという仮定に立っている。
・意思決定者の要求する情報を提供すれば意思決定が改善されるという仮定に立っている。

全ての情報をDBに貯蔵する事は技術的にも経済的にも不可能である。またトップは詳細データは通常必要としていないため、本来その必然性もない。加えて、トップが必要とする情報は、統括的・例外的・単発的・外部的なものである。このような情報を用いての意思決定においては、トップ自身どのような情報が必要であるか事前に予想することができない。そのため、情報を予めDBに貯蔵しておく事はやっぱり事実上不可能となる。こうして、結局経営者の意思決定には大きくは貢献できなかったのである。

そうはいっても、当初の目的は果たせなかったものの、「定型的、ルーチン的業務処理の合理化」にはMISは成功しており、一定の成果をあげることができたといえよう。

1978 キーン&スコットモートン DSS提唱
DSSの特性
・半構造的意思決定を支援
・管理場の判断を代替(REPLACE)するのではなく支援(SUPPORT)する
・意思決定の能率性(EFFICIENCY)を向上するのではなく有効性(EFFECTIVENESS)を向上させる
・データベース、モデルベース、ユーザーインターフェイスから構成される
・意思決定者とコンピュータが対話的な相互作用により意思決定を遂行する

MISの失敗をうけ、DSSが提唱された。根底にあるのは意思決定者へのサポート、という考え方である。コンピュータがあれば意思決定までもが自動化できるという考えは、こうして修正されることとなる。

2)MISとDSSの比較
ここで一度、MISとDSSを比較としてまとめておこう
MIS DSS
システムの目的 情報処理そのものの合理化 意思決定プロセスそのものの効果性を高める
システムの対象 間接的に意思決定を支援
造的意思決定領域
直接的に意思決定を支援
半構造的意思決定領域
システムの利用方法 期間的、統括的情報
一方向
臨時的、単発的利用
両方向
システムの操作者 情報処理部門 意思決定者 スタッフ
システムの特性 全体的に首尾一貫性がある システムを弾力的にできる
環境適応能力 低い 高い


3.ES、インテリジェンスDSS、SISの登場
1985 ES(エキスパート・システム)
・最高の解を導くにはあまりにも論理が複雑な問題に対して、人間的推論を採用して「良い解」を導こうとするもの(非定型的意思決定支援)
(MIS、DSSまでは定量的情報を分析的に扱うが、ESは定性的情報も扱おうとした。)

しかし! ESが適用できるのは狭い範囲に限定された特定の意思決定のみとなってしまった。企業経営全般に関わる膨大な複雑な論理構造をプログラム化する事は、実際上不可能だったためである。

?年 ES+DSS=インテリジェンスDSS
・データベース、モデルベース、ユーザーインターフェイスなどにESを組合せる事で、非定型的意思決定を支援できるように工夫する案が生まれた。これがIDSSとなる。

1985(ESと同時期) ハーバード大より戦略的武器としての情報システムという概念が発生=SIS
・SISの目的
競争優位を獲得維持するために意図的・合理的に構築される情報システムのことである。MIS、DSSは意思決定という概念的パースペクティブ、SISは競争優位という戦略的なパースペクティブ という違いがある


承知のとおり、情報システムはまだまだ急速に発展し姿を変えていっているものである。人間の脳を目指すコンピュータ発展の勢いは加速するばかりであるが、やはりしょせんは道具である、という認識が重要であろう。特に、昨今の暗黙知といった考え方を考慮すると、人間にしかできない領域はまだまだ広い。
(2001年11月24日 土曜日)
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